レシピ65 グリオ(Griot)
ハイチは、カリブ海で最初に独立を果たした国。
カリブ諸国の中で最も人口が多く、唯一のフランス語圏です。
自然災害や長期にわたる政情不安、ギャングの横行などにより、厳しい経済状況が続いており
西半球で最も貧しい国と言われています。
首都ポルトープランスは、丘の斜面に住宅が積み重なるように並ぶカラフルな街並みが有名です。
(ポルトープランスは、フランス語で「王子の港」の意味)
まるで色鉛筆で描いた絵のような風景で、芸術家が多く暮らしているのもナットク。
ただ、かつてはギャングの支配下にあった地域でもありました。
現在のカラフルな街並みは、政府が観光資源化を目的として外壁を塗り替えた
都市再生プロジェクトの成果です。
ハイチ料理は、かつてフランスの植民地だったことから
フランスとアフリカの食文化の影響を色濃く受けています。
今回ご紹介するグリオは、煮込んでから揚げるという二段階調理法。
まず柑橘類で肉を洗う工程がハイチ流ですね。
アフリカ、フランス、カリブの異なる文化や制度をつなぐクレオール文化を象徴する料理です。
材料(2人分目安)
| タマネギ(①用) | 1/4個 |
| ピーマン | 1/2個 |
| ニンニク(①用) | 2かけ |
| セロリ | 1/4本 |
| パセリ | ひとつかみ |
| 酢(①用) | 大さじ1 |
| ライム果汁(①用) | 大さじ1 |
| 塩・こしょう(①用) | 小さじ1/4 |
| 豚肩または豚バラ肉 | 500g |
| ライム果汁(②用) | 大さじ2 |
| 酢(②用) | 大さじ1 |
| 塩(②用) | 小さじ1 |
| 黒こしょう(②用) | 小さじ1/2 |
| ニンニク(②用) | 1かけ |
| タマネギ(③用) | 1/4個 |
| 水 | 適量 |
| 油 | 適量 |
作り方
① カットしたタマネギとピーマンとニンニクとセロリ、ちぎったパセリと大葉、酢、ライム果汁、塩・こしょうをミキサー/ブレンダーで攪拌し、ペースト状にする。
② 豚肉をライム果汁と酢でよくもみ洗いし、水で流す。洗った豚肉に①、塩・黒こしょう、刻んだ大葉、すりおろしたニンニクを加えてよくもみ込む。冷蔵庫で最低1時間(出来れば一晩)漬け込む。
③ ②を鍋に入れ、スライスしたタマネギと水を加え(肉が半分つかるくらい)、中火で30分くらい煮る。
④ ③の肉を取り出し、キッチンペーパーなどで水分をふき取る。中温の油で表面がカリッとするまで揚げ、油を切ったら完成。


脂身が多い肉を選んだ方がいいと思います。
今回は、タイムの代わりに大葉を使ってみました。
いざ実食!
外はカリカリ、中はしっとり柔らかい。
ごはんのお供というより、スナックっぽいです。
ハイチは、アフリカ系奴隷制度を世界で初めて廃止し、独立を勝ち取った国です。
ナポレオンさんは、奴隷制度を復活させようとしましたが
諸々あって失敗しました(ご興味のある人は「ハイチ革命」で検索してみてください)。
しかし、現代においても、奴隷のような構造が世界中に存在しています。
人が人を物として所有するという行いに終わりは訪れるのでしょうか。
1月1日のハイチの独立記念日には、スープ・ジュムーというカボチャのスープを食べるそうです。
かつて奴隷たちが食べることを許されていなかったこのスープを
独立後に自由の象徴として作って食べたことから、記念日に食されるようになったのだとか。
この料理は、2021年にユネスコの無形文化遺産に登録されました。

